ため息が出るほどの圧倒的な映像美
ほぼ開場と同時に真っ先にソニーブースにいったのですが、すでに多くの人が有機ELテレビの周りを囲っていてすぐに分かりました。
ソニーの有機ELテレビは今年1月にCESで発表され、9月のIFAでも展示されましたが、基本スペックは全く同じで今回のCEATECで国内で初めてお披露目されました。
私もじっくり見ることができましたが、噂通り今まで見たことが無い圧倒的な、ピーク輝度とコントラストで、思わずため息が出るほどの見入ってしまう映像美でした。また暗部のコントラストが非常に良いので奥行き感があり立体的にも見えました。テレビの本命と言われている有機ELですが、まさにそれにふさわしい完成度でしたね。
パナソニックはまた別の記事で詳しく書きますがCESより改良されています。しかし、ソニーがそのままのスペックでIFA、CEATECと出展したのも、それだけ完成度が高いとも言えます、さすが15年有機ELを研究して、業務用、民生用に販売実績があるだけの事があります。
デモ映像はCESの時に流され評判だったリオのカーニバルの映像ではなく、現在販売されている4K液晶テレビX9200A などの店頭デモに仕様されている映像でしたが、それでも十分ソニーの有機ELの性能が分かる映像美で、見に行った価値のあったと思える試作機でした。
ソニーの有機ELテレビの方式について考える
ソニーは2007年に「XEL-1」と言う11V型の有機ELテレビを販売しましたが、この有機ELで採用されていたソニー独自の「スーパートップエミッション」方式が、今回の56型の4K有機ELテレビでも採用されています。今回の展示機の横にもそのような記載がありました。
ソニーの公式サイトでこの方式について詳しく説明されています。
しかし、同じく評論家の麻倉さんの記事では、白色有機EL+カラーフィルターを組み合わせたものだと書かれていました。
確かに有機ELは蒸着方式だと大型になるほどRGBを均一に蒸着するのが難しく、困難と言われています。
事実大型の有機ELで先攻していた韓国LGもRGB方式を断念し、白色有機ELとRGBWのカラーフィルターの方式に切り替え現在唯一大型の有機ELを販売しています。
またRGBで塗り分けて蒸着する方式を採用しているサムスンは、2012年に販売すると宣言しておきながら歩留まりが悪く未だに製品化のめどがたっていません。ある記事では歩留りが1%という話もあります。
そう考えるとソニーが白色有機ELとカラーフィルターを採用し、今回大型の有機ELを実現出来たのにも納得がいきます。しかし、製造へのハードルは下がるものの白色有機ELは発光効率が悪くなり暗くなるというデメリットがあります。でも冒頭で述べた様に今回の4K有機ELテレビは「ピーク輝度」が素晴らしいですし、麻倉さんによればソニーはピーク輝度にこだわってるとも述べておられました。
そのため私は混乱してよくわからなくなったので、CEATEC前にtwitter経由でその事について麻倉さんに直接質問してみました。すると、「ソニーは公式には発表はしていないが、確度の高い関係筋の情報」だと回答して下さいました。
麻倉さんはテレビを含めオーディオビジュアルに関しては知り尽くされていますし、何よりこの業界に影響力のある方で情報通でもあられるので間違いはないと思います。
そう考えると今回のソニー有機ELの凄さが分かるのではないでしょうか。ソニーは白色有機ELとカラーフィルターの方式であの超リアリティのある映像美を実現していて、白色有機EL問題を克服しているからです。もしかしたらソニー独自の画期的な技術を搭載しているのかもしれません。ただ、白色有機ELだと消費電力が気になりますね。あと西川さんの記事からRGBのサブピクセルがない事も分かっているのでそのあたりも非常に気になります。
ここからは私の推測ですが、現在液晶BRAVIAに採用されている「トリルミナス」の量子ドットの技術が用いられているのではないかと思いました。実際そういった研究がされているという記事を西川さんが書かれていたので。まぁ、あくまでもド素人の無知な推測なのでここは聞き流して下さい。
今回のソニーブースは、VAIOやHMD、それにIFAで発表されたハイレゾ製品や4Kプロジェクターもなく非常に寂しい内容でしたが、4K有機ELテレビはソニーストアでもこれから当分見れない物なので、行って良かったと思いました。麻倉さんのIFAの記事では、来年のCESで商品化の方向性がみえてくるかもしれないと述べておられるので、ソニーに期待しましょう。